東大駒場キャンパス900番教室、その2階にはパイプオルガンが設置されています。2段の手鍵盤と足鍵盤を有し、総ストップ数は12、パイプオルガンとしては小型ながらも、様々な表情の音色を奏で、聴く人を楽しませてくれます。やはり、「楽器の女王」の呼称に愧じないスケールの大きさを持っていると言えるでしょう。そして、そのオルガンを弾くサークル、それが私たち東京大学オルガン同好会です。
オルガン同好会発足のきっかけは、「パイプオルガンを日常的に弾きたい」という学生の要望でした。幸いにして、オルガンを管理しているオルガン委員会の先生方にも「東大にパイプオルガンという素晴らしい楽器が折角あるのに、それを弾くサークルがないのは勿体無い」という意見があったため、即座にサークルの設立に理解が得られました。そして、まもなくオルガン使用の許可が頂けるようになり、活動が開始しました。これが当サークルの始まりです。なお、設立年月日は、不明です。
現在、我々は平日の夜や休日を中心に、一ヶ月におよそ10回、不定期に活動を行っています。活動内容は個々人の自由。鍵盤に触って音が出るのを楽しむ者、「パッサカリアとフーガハ短調BWV582」を弾くことを目指して鍛錬する者、自分では弾かずに専ら聴くことを楽しむ者、他の人と話すために来る者等など、それぞれが、それぞれの技術と動機、意欲に応じ、それぞれなりのやり方で楽しんでいます。なお、近年では、一年に数回、有志を募って演奏会を開くことがあります。
また、オルガン委員会から無料で使用許可を頂いているため、定期的な必要経費はなく、部費を徴収することはありません。そのため、事務的な方法によってメンバーを決定したことはなく、かつ、ごく稀に顔を出すのみの者も多いため、実際に何人いるのかは、謎です。ただ、思い当たるだけでも、大学一年生から社会人、日本文学から医学、埼玉県越谷市から宇宙空間まで、幅広い範囲をカバーする多種多様な人々がいます。個性溢れる人物たちが好き勝手に楽しんでいるというのも、このサークルの魅力の一つでしょう。
時は放課後、所は900番、そこに人知れず寄り集う者達。闇に紛れて出没し、意に任せて跳梁す、これぞ我らが東京大学オルガン同好会。 ――決して秘密結社ではありません。寧ろ飛び入り参加大歓迎の開放度。900番教室にあるオルガンを自由に味わい、オルガンのある900番教室を気儘に楽しむ。この独特の空間を、あなたも味わってみませんか。